生き抜き方1・テレコーラス

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新たな世界で

ご紹介している動画は、国立音楽大学のオンラインの合唱の授業で完成させたテレコーラスです。歌っているのは1年生で、この作品が完成するまで、学舎に入ることもできておらず、一部は東北や北関東などの地方の自分の部屋にいるままです。指導は、当協会代表理事、木島タローが行なっています。

(出演者全員に公開許可を取っています)

(楽曲権利者の権利によって広告が表示されることがあります)

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みなさま。新型コロナウィルスの影響が世界を変えてゆく中いかがお過ごしでしょうか。私たちの音楽、パワーコーラスは、ゴスペルミュージック、ひいては黒人霊歌をルーツとし、最も困難な時にこそ共に歌って乗り越えるという力を持った音楽でした。

そのはずが、まさに「共に集まって歌うこと」こそが制限されてゆく世界に私たちは生きています。

しかし人類は、その発生当初から共に歌うという活動を続けてきており、この文化が人類史から失われることは決してありません。趣味でも娯楽でもなく、人が生き抜くための歌であるパワーコーラスこそ、再び共に集まって皆が気兼ねなく歌える日までその灯をつながなくてはならない音楽です。

この一つの新たな文化、オンラインでのコーラスづくりについて、改めてご紹介いたします。

様々な名前で

この疫病は、悲しくも亡くなる方々がある一方で、その感染対策により毎年数千人の死者を出すインフルエンザは激減し、産業の停滞で世界各地で環境改善が報告されるなど、人類と地球に皮肉な結果をもたらしています。

そして音楽の世界には、オンラインで音楽を行う文化が急発展しています。このパンデミックが、ここまでインターネットが発展してきた時代に起こったことは、世界経済のみならず、アーティストたちをも救っていると思うべきかもしれません。

ほとんどの社会人がスマホを持っている先進国では、自分のスマホを使用して歌っている動画を撮り、それを組み合わせて仮装コーラスを作り上げる動きが起こり、ほぼ文化と言えるほどの広がりを見せています。日本では以下の通りに呼ばれているようです。

・テレコーラス、リモート合唱、リモートコーラス

アメリカでは、以下のように呼ばれているようです。

・Virtual Choir, Zoom Choir, Quarantine Choir

Zoom Choir のZoomは、オンライン会議アプリ「Zoom」のことですが、本当は現時点ではZoomでは時間差があってリアルタイムで共に歌うことはできません。最終的な完成形が、まるでZoomで歌っているように見えることからついた名前と思われます。響きがいいので、この言葉が生き残るかもしれません。

Quarantine は「検疫」のことで、本来、病気にかかっているかどうかわかるまで2週間程度外出を禁じられる期間のことを言うのですが、その期間にもハモれる、と言う意味の言葉でしょう。

実践方法

体系的な実践方法について場を改めて、内容を詰めてご紹介できればと思いますが、大まかに、必要なものは以下の通りです。

・参照するための優れた音源

学習者は、みなと共に歌えない分、「聴きながら一緒に歌うことでその歌を感じられる音源」を必要とします。

・スマホで撮影する際の手順

編集しやすい音を集めるために、各自が手順を知っておく必要があります。

・編集者

画像を編集するソフトを持った編集者の助けが必要です。代表的なソフトの中に、この期間中に無料お試し期間を伸ばしているものなどがあるようですので、パソコンが得意な方はこの機会に学んでみるのも良いと思います。

今後の可能性

クラスによっては、オンラインでの音楽づくりになることで、海外に引っ越したメンバーが参加できるようになった、と言う出来事も起こっています。世界中の人々が一つの音楽を作れる、と言う新たな楽しみがこの音楽には生まれています。

歴史を変えるのは偉人ではなく、危機である、という歴史学者の名言があります。2019年の「スペイン風邪」パンデミックの直後には、現在のアメリカポピュラー音楽の世界席巻の引き金となった「ハーレムルネッサンス(2020)(wiki)」が起こっており、ここにもまた歴史の妙を感じます。

もちろん、今から半年程度の間にワクチンなどの効果的な対策が普及し、再び人が共に集まって歌えるようになることを大前提としながら、それまでの灯火をつなぐ活動として、オンライン活動は考えられるべきでしょう。

しかしそれでも、オンラインでアンサンブルを作ると言う技術そのものも発展してゆくと思います。

現時点で有力なものは、YAMAHAのSyncroom です。音だけはありますが、「レイテンシー(信号の遅れ)がでないところまでとにかく音質を下げる」と言うシステムによって、ネット上でリアルタイムのアンサンブルを可能にするものです。

筆者も実験をしてみましたが、難点は、互いに有線のかなり高速の接続であることがほぼ必須だと言うことです。500Mbpsを超える回線同士であれば、テンポの速い曲でも十分にアンサンブルできました。(ご自分の回線の速度測定)

現時点では最大10人までがアンサンブルできるとのことです。今から10年程度後には、このようなオンラインでその場で音楽ができると言うシステムがそこら中にあるでしょう。

以下に、その他の作品群の紹介をいたします。

皆様のパワーコーラス活動にも、消えない灯火のありますように。協会としてもご提供できるサービスの検討を開始いたします。